そうは言っても

入学式が行われないよりも卒業式が無いことの方が可哀そうだ。一番末の娘の大学卒業証書はゆうパックで送られてきた。卒業生は引っ越しの時期にあたるため保護者宅への配送となったそうだ。友達とは会えないままフェイドアウトのように別れ、みんなそれぞれの場所へ移っていったという。そして娘の看護師として最初の配属先が呼吸器科に決まった。最前線かぁ。娘からは必要以上に心配しないようにと言われている。そうは言っても心配なものは心配だ。日々大丈夫か変わりはないかと探りを入れているが、娘からはなんとなく疎ましがられているような気がする。しつこ過ぎて娘が辟易としてくる前に、おやすみ、じゃね!そそくさと電話を切る。緊急事態宣言が出されるに至って初めて、何気ない日常が如何に幸せであったかに気が付く。安心して生活できる日が早く戻ってきますよう。